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全国就業実態パネル調査| 調査結果

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Academic year: 2018

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(1)
(2)

-1-はじめに

働き方改革はどこまで進んでいるのか

求められる、現在値と変化度の可視化

2017年6月 リクルートワークス研究所 「全国就業実態パネル調査」プロジェクト

2017年3月28日、「働き方改革実行計画」がまとめられた。一億総活躍社会の実

現を目指して、総理を議長とし、有識者・労使の代表者から構成される「働き方改革

実現会議」で議論された内容の集大成である。働く人の視点に立った課題から、検

討すべき9項目のテーマが整理され、それぞれに対する具体的な施策と、2020年

時点の数値目標が掲げられている。

この実行計画を前進させるためには、それぞれの目標に対して、現在どの地点に

いるのかを定期的に観測するとともに、期待する効果が表出しているのか、また、表

出していないとすればそれはなぜなのか、その背景を分析していくことが必要であ

る。しかし、これらは既存の公的統計だけで捉えられないことが多い。それを補完す

るデータセットが望まれる。

リクルートワークス研究所では、全国の15歳以上のおよそ5万人の同一個人を対

象に、毎年継続して調査する「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を立ち上げてい

る。豊富な設問数により、働き方の実態を毎年定期的に観測できるだけでなく、注

目する対象が次の年にどのように変化したのかを捉えられるという強みをもつ。2期

目となる2017年の調査には、働き方改革に関連する設問を追加した。本報告書で

は、このデータを活用し、働き方改革の進捗状況を、指標の現在値、変化度、その

(3)

目次

はじめに ・・・・・P1

目次 ・・・・・P2

働き方改革実行計画の検討項目と目標一覧 ・・・・・P3

全国就業実態パネル調査による進捗と評価 ・・・・・P4

項目1:非正規雇用の処遇改善 ・・・・・P5

項目2:賃金引き上げと労働生産性の向上 ・・・・・P6

項目3:時間外労働の上限規制の在り方と長時間労働の是正

・・・・・P8

【コラム】 仕事の質に着目した労働時間の削減策を考える ・・・・・P10

項目4:柔軟な働き方①テレワーク ・・・・・P12

【コラム】 制度が適用されているのに、なぜテレワークできないのか ・・・・・P14

柔軟な働き方②副業・兼業 ・・・・・P15

項目5:子育て・介護などと仕事の両立 ・・・・・P17

【コラム】育児や介護が、働く人々のストレスに与える影響とはなにか・・・・・P18

項目6:働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備 ・・・・・P19

【コラム】社会保険適用拡大により、3割が労働時間・年収が増加し、

3割はそれ以下に調整 ・・・・・P20

項目7:雇用吸収力、付加価値の高い産業への転職・再就職支援 ・・・・・P21

項目8:高齢者の就業促進 ・・・・・P23

(4)

-3-働き方改革実行計画の検討項目と目標一覧

全国就業実態パネル調査で評価する

まずはじめに、全国就業実態パネル調査(JPSED)で検証する「働き方改革実行計画」のテーマと目標、それに

対する公的統計での直近値を整理しておこう。「働き方改革実行計画」には全部で9つのテーマがあるが、「外国

人材の受入れ」についてはJPSEDでは把握できないため、それを除いた8項目を検証対象とする。

①非正規雇用労働者に占める不本意非正規の割合 2020年10%以下

①2015年16.9%、2016年15.6%

(総務省「労働力調査」)

②25~34歳若年層の非正規雇用労働者に占める不本意非正規の割合 2020年に2014年値28.4%の半減

②2015年26.5%、2016年24.4%

(総務省「労働力調査」)

項目2

賃金引き上げと労働生産性の向上 総雇用者所得を増加させていく

2017年4月前年同月比1.1%(実質原数値) (内閣府「月例経済報告」)

①週労働時間60時間以上の労働者割合 2020年5%以下

①2015年8.3%、2016年7.8%

(総務省「労働力調査」)

②時間外労働は原則月45時間、かつ年360時間が上限、 労使協定を結ぶ場合においても時間外労働は 年720時間(=月平均60時間)が上限

②―

①テレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合 2020年に2016年(7.7%)比の倍増にする

①2016年7.7%

(国土交通省「テレワーク人口実態調査」)

②テレワークの普及により長時間労働を招かないように留意 ②―

③希望者は原則として副業・兼業を行うことができる社会にする

③2012年雇用者の5.7%が副業・兼業を行うことを希望し ている。また、雇用者の3.4%が副業・兼業をもつ

(総務省「就業構造基本調査」)

④副業・兼業が新たな技術や視野の獲得によるオープンイノベーションや、 第2の人生の準備としての有効性をもつ ④―

①男性の育児休業取得率 2020年13% ①2015年2.65%(厚生労働省「雇用均等基本調査」)

②男性の育児家事時間 2020年1日当たり2時間30分 ②2011年1時間7分(総務省「社会生活基本調査」)

③女性の第一子出産就業継続率 2020年55%

③2010~2014年出生年で53.1%

(国立社会保障・人口問題研究所 「出生動向基本調査」)

④2020年までに介護施設・サービスが利用できない ことを理由とする介護離職をなくす

④介護離職者数2012年10.1万人

(総務省「就業構造基本調査」)

項目6

働き方に中立的な社会保障制度・税制など 女性・若者が活躍しやすい環境整備

女性課長職比率 2020年民間企業15% 2016年100人以上の民間企業10.3%(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)

①パートを除く一般労働者の転職入職率 2018年9% ①2015年8.5%

(厚生労働省「雇用動向調査」)

②付加価値の高い産業への移動を高める ②―

①60~64歳の就業率 2020年67% ①2016年63.6%(総務省「労働力調査」)

②65歳以上の就業を増やす ②2016年22.3%(総務省「労働力調査」)

③希望する高齢者が就業可能とする ③―

公的統計での直近値 国が設定している目標

検討テーマ

項目8

高齢者の就業促進 項目1

非正規雇用の処遇改善

項目3

時間外労働の上限規制の在り方と 長時間労働の是正

項目4

テレワーク、副業・兼業 といった柔軟な働き方

項目5

子育て・介護などと仕事の両立

項目7

(5)

5ページ以降で検証した、JPSEDの数値と評価をまとめておく。2017年3月28日に公表された「働き方改革実行計 画」の施策効果がでるのはこれからであるが、JPSEDの2016年時点の数値と前年からの変化をみることで、それぞれ

の目標達成に向けて、視野が良好なものとそうでないものを、4段階で評価している。

全国就業実態パネル調査による進捗と評価

JPSEDの数値

公的統計とJPSEDでは設問や調査対象が異なる場合もあるため、 数値そのものだけでなく、2年分の数値の変化にも着目している

①2015年10.5%、2016年11.8%

※JPSEDのほうが選択肢が細かい △ 非正規に占める不本意非正規の割合は減少傾向とまでは言えない。

②2015年13.2%、2016年16.2%

※JPSEDのほうが選択肢が細かい △

25~35歳の若年層の非正規に占める不本意非正規の割合は 減少傾向とまでは言えない。

項目2

賃金引き上げと労働生産性の向上 2016年雇用者の平均所得は前年の-1.6% △

雇用者の平均所得は、前年比で減少している。

継続雇用者は+1.9%と増加している一方で、中途採用者は-3.8%と減 少している。

①2015年10.0%、2016年9.6% ○ 週労働時間60時間以上の労働者割合は減少傾向にあるが、今後達成に向けては余談を許さない。

②雇用者の9.7%が時間外労働月45時間の上限を超え、7.5%が 時間外労働月60時間の上限を超える ×

時間外労働の上限を超えるものが多く存在する。

25~54歳男性の時間外労働が多く、とくに、35~44歳男性は14.9%が 月60時間を超えた時間外労働をしている。

①2016年2.1%

※JPSEDはテレワーク制度導入のみを対象として、公的統計が対象と する「制度はないが会社や上司などが認める」場合などを含まない ―

テレワーク制度に基づく雇用型テレワーカーの割合は、現状では極め て低い。目標が再設定されたばかりであること、また、前年度のデータ がなく進捗は評価できない。

②テレワーク制度適用に基づくテレワーク実施者の平均週労働 時間は男性41.4時間、女性31.9時間であり、テレワークをしてい ない人(男性41.8時間、女性32.3時間)と比べて差がない。 ○

テレワーク制度適用に基づくテレワークを実施している場合は長時間 労働を招かない。ただし、制度に基づかずにテレワークを実施ている 場合は長時間労働を招く傾向がある。

③2016年雇用者の12.9%が1年間に副業・兼業経験をもつ

2016年雇用者の12.9%が1年間に副業・兼業経験をもつ。 副業・兼業希望者については、調査していないが、ある程度希望者が 副業・兼業を行うことができる社会に近づいていると言える。

④副業・兼業をもつ正規職員・従業員

成長実感あり33.7%(27.7%)、転職割合7.6%(4.2%) 副業・兼業をもつ非正規職員・従業員

成長実感あり33.3%(27.4%)、転職割合15.1%(12.8%) (括弧内は副業・兼業をもたない場合)

○ 副業・兼業経験者は、仕事を通じた成長実感が高く、転職割合も高め である。

①2015年3.8%、2016年5.2%

※JPSEDは測定期間が公的統計と異なる △ 男性の育児休業取得率は微増傾向だが、目標には遠い。

②2016年2時間22分

※JPSEDはほかの活動をしながらの育児家事時間も含む ◎ 男性の育児家事参加時間はすでに目標に近いレベルにある。

③2011~2015年出生年で55.1% 女性の第一子出産就業継続率は目標を達成している。

④2015年14.2万人、2016年14.5万人 × 介護離職者の数は増加傾向にある。とくに、男性の離職者が増えている傾向にある。

項目6

働き方に中立的な社会保障制度・税制など 女性・若者が活躍しやすい環境整備

2015年10.6%、2016年10.4%(従業員規模計) △

女性課長職比率は横ばいである。

従業員規模が100人未満の企業と公務においては比率が高まってい るのに対し、1000人以上の大企業においては低下している。

①2015年8.5%、2016年9.2% 転職入職率は2016年ですでに目標に到達している。

②転職者のうち、他産業から高付加価値産業への移動は2015 年8.3%、2016年8.3% △

2016年の他産業から高付加価値産業への移動は8.3%であるのに対 し、高付加価値産業から他産業への移動は10.1%であり、高付加価値 産業への移動が進んでいるとは言えない。

①2015年60.2%、2016年62.1% 60~64歳の就業率は順調に推移している。

②2015年20.9%、2016年21.7% ○ 65歳以上の就業率は順調に推移している。 ③2015年就業を希望する高齢未就業者のうち、

2016年に仕事に就けたのは14.6% × 高齢者が就ける職種には偏りがあり、希望者に占める就業率も低い。

JPSEDに基づく評価

検討テーマ     ◎:目標をすでに達成している,○:順調に進捗しており目標達成が期待される,     △:順調に進捗しておらず目標達成への課題が多い,

    ×:進捗が芳しくなく目標達成が厳しい,  ―:検証するデータがなく評価できない

項目8

高齢者の就業促進 項目1

非正規雇用の処遇改善

項目3

時間外労働の上限規制の在り方と 長時間労働の是正

項目4

テレワーク、副業・兼業 といった柔軟な働き方

項目5

子育て・介護などと仕事の両立

項目7

(6)

-5

-項目

1

非正規雇用の処遇改善

働き方改革実行計画の1つ目の項目として、同一労

働同一賃金を実現することなどによる、非正規雇用の 処遇改善を掲げている。非正規に占める不本意非正 規の割合を数値目標に定めており、2020年には10% 以下を目指している。

総務省「労働力調査」によると、2015年は16.9%、

2016年15.6%と微減傾向にある。JPSEDにおいても不 本意非正規に関する調査項目を設けているが、労働 力調査より細かい選択肢で質問しているという設計上 の違いがある。そのため、数値自体は単純には比較で きないが、追加的な検証も合わせて、不本意非正規に まつわる課題を見ていく。

不本意非正規は2015年10

.

5%、2016年

11

.

8%

JPSEDによると、非正規に占める不本意非正規の割

合は、2015年10.5%、2016年11.8%とわずかではある が上昇しており、不本意非正規が減少しているとは言 え な い 。年 齢 階 層 別 でみる と 、25~34歳 は2015年

13.2%から2016年16.2%と上昇しており、他の年齢階 層よりも上昇幅が大きい。25~34歳の若年の不本意非

不本意非正規の割合は減少せず

不本意非正規の正規転換は8.0%に留まる

正規については項目6の若者活躍で数値目標が設定

されており、2020年には2014年の値である28.4%の半 減を目指している。若年層の不本意非正規をどう減少 させるかが課題であると言える。

また、雇用形態別に見ると派遣社員と契約社員につ いては、2016年で25.7%が不本意非正規であり、他の 雇用形態よりも高い。

不本意非正規の正規転換はほとんど進まず

次に、働き方改革実行計画では、不本意非正規を正 規雇用に転換していくことに焦点を当てているため、 不本意非正規のうちどれくらい正規雇用に転換してい るかを見ていこう。パネルデータの構造を用いて、2015

年時点では不本意非正規であった者のうち、2016年

で正規雇用に転換した者(同一企業に勤務で雇用形 態が正規になった)を集計すると、8.0%に留まってい た。不本意非正規は正社員の仕事がなく非正規として 働く人たちであるから、正規雇用への転換は望ましい 形であるはずだが、それはほとんど進んでいないと言 わざるを得ない。正規雇用への転換を促進していくこと が求められる。

図表1 不本意非正規と正規への転換状況 (%)

2015年 2016年

10.5 11.8 8.0 4.7

15~24歳 5.5 5.8 5.2 9.2

25~34歳 13.2 16.2 14.5 8.9

35~44歳 13.6 14.1 12.1 5.4

45~54歳 12.1 14.2 3.7 2.9

55~64歳 11.9 12.5 4.4 3.0

65歳以上 4.4 5.9 5.3 2.1

パート・アルバイト 5.8 5.9 5.4 2.6

派遣社員 23.0 25.7 8.1 5.5

契約社員 21.1 25.7 10.3 10.6

嘱託 15.1 17.8 6.4 8.4

(参考)2015年の非正規社 員のうち、2016年に正規社 員に転換した者の割合

非正規計

年 齢

雇 用 形 態

非正規に占める

不本意非正規の割合 2015年の不本意非正規のう ち、2016年に正規社員に転

換した者の割合

(7)

項目

2

賃金引き上げと労働生産性の向上

働き方改革実行計画では、デフレから脱しつつある 経済の中で、労働分配率を上昇させ、経済の好循環 をさらに確実にすることにより総雇用者所得を増加させ ていくことを目標としている。そのために最低賃金や生 産性向上支援などを通じた環境整備を進めていくとし ている。以下では現状の賃金の状況についてみてみ よう。

継続雇用者の平均所得は拡大

2015年と2016年を比較した時に、入職者、離職者を す べ て 含 め た 雇 用 者 全 体 で み る と 、 平 均 所 得 は -1.6%と減少している。しかし、2015年から2016年にか けて、同一企業に継続就業している雇用者に限って みると、+1.9%と平均所得は増加している。雇用形態 別でみると、どの雇用形態でも平均所得は減少してい るが、継続雇用者についてみると、正規雇用者、パー ト・アルバイトと派遣社員で増加していて、契約社員・

嘱託で低下している。2016年の中途採用者は、継続

雇用者と比べて平均所得が低く、雇用者計でみても下 がっている。

業種別にみると、鉱業はサンプルサイズが小さく参考 値ではあるが、医療・福祉、電気・ガス・熱供給・水道 業、サービス業、建設業において平均所得が増加して いる。そのすべてにおいて、継続雇用者に限定しても 平均所得は増加している。

人手不足の業種を中心に中途採用者の平均所得は伸びたが、

雇用者全体の平均所得は伸び悩む

人手不足の業種ほど中途採用者の平均所得

は上昇

次に、各年の中途採用者に限って、平均所得をみて みると、2016年は179.0万円と継続雇用者の356.7万円 と比べて低い。2015年からの増減率は-3.8%と減少し ている。雇用形態別で見ても、正規雇用者においても

-1.5%と減少しているだけでなく、パート・アルバイトや 派遣社員など非正規雇用者においても減少している ため、中途採用者の処遇を高めていくことが雇用者全 体の賃金上昇のために求められる。

一方、業種別でみると、公務が+8.2%の増減率であ ることを筆頭に、小売業+6.1%、卸売業+4.5%、飲食 店、宿泊業+4.5%といくつかの業種において、賃金が 上昇している。公務を除き民間企業において、労働者 の過不足状況との関係を見た図表3をみると、労働者 が不足している業種ほど賃金が上昇している関係が見 られる。業種単位であるためサンプルサイズが少ない が、参考のために平均所得増減率と労働者の過不足

DIとの相関を取ると、0.74と強い相関がみられた。その ため、人手不足が深刻な業種ほど中途採用者の平均 所得が上昇していると言える。

(8)

-7-図表2 2015~16年の雇用者の平均所得

農林漁業、鉱業についてはサンプルサイズが小さいので参考値

異常値を除くため未就業者(0万円)を含む全サンプルのうち、労働所得上位0.25%を除いた

労働者の 過不足状況

DI

図表3 業種別 2015~16年の中途採用での入職者の雇用者平均所得増減率と労働者の過不足状況との関係

労働者の過不足状況の出所は厚生労働省「労働経済動向調査」(2016年11月)における常用労働者の過不足状況DI。

建設業

製造業

情報通信業

運輸業

卸売業 小売業

金融・保険業 不動産業

飲食店、宿泊業

医療・福祉

教育・学習支援

サービス業

-30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0

0 10 20 30 40 50 60 70

(%)

(単位:万円,%)

2015年 2016年 増減率 2015年 2016年 増減率 2015年 2016年 増減率

330.1 325.0 -1.6 350.2 356.7 1.9 186.1 179.0 -3.8

正規雇用者 442.8 440.2 -0.6 447.4 455.9 1.9 297.6 293.1 -1.5

パート・アルバイト 112.9 106.8 -5.4 115.9 116.4 0.4 98.9 91.7 -7.3

派遣社員 199.4 194.4 -2.5 212.8 220.3 3.5 178.7 172.0 -3.7

契約社員・嘱託 254.4 245.1 -3.7 260.1 255.3 -1.8 233.3 209.4 -10.2

農林漁業 228.9 193.4 -15.5 246.3 229.1 -7.0 156.5 142.5 -8.9

鉱業 311.9 331.3 6.2 342.4 255.0 -25.5 408.2 -

-建設業 367.3 368.8 0.4 372.3 383.0 2.9 270.8 276.7 2.2

製造業 407.7 400.7 -1.7 422.0 428.6 1.6 218.9 209.3 -4.4

電気・ガス・熱供給・水道業 418.6 425.5 1.6 437.7 438.0 0.1 245.6 222.4 -9.4

情報通信業 421.6 421.3 -0.1 438.3 450.3 2.7 269.3 240.4 -10.7

運輸業 346.5 340.6 -1.7 367.6 365.4 -0.6 188.5 187.5 -0.5

卸売業 346.9 335.8 -3.2 367.4 366.3 -0.3 215.4 225.0 4.5

小売業 190.0 186.6 -1.8 208.1 216.5 4.0 113.1 120.0 6.1

金融・保険業 374.0 364.7 -2.5 385.5 391.2 1.5 219.4 162.6 -25.9

不動産業 344.1 338.0 -1.8 354.3 349.6 -1.3 240.0 213.7 -11.0

飲食店、宿泊業 181.2 179.3 -1.0 195.5 198.8 1.7 131.5 137.4 4.5

医療・福祉 266.0 284.3 6.9 269.1 279.9 4.0 185.9 190.5 2.5

教育・学習支援 354.3 334.7 -5.5 384.6 391.3 1.7 198.7 173.9 -12.5

郵便 246.9 236.9 -4.1 318.4 364.6 14.5 74.6 56.4 -24.4

サービス業 277.3 279.2 0.7 292.7 300.3 2.6 179.0 186.9 4.4

公務 482.7 475.6 -1.5 500.0 504.2 0.8 167.7 181.5 8.2

他に分類されないもの 248.7 232.8 -6.4 274.3 270.3 -1.5 161.8 147.8 -8.7

業 種

雇用者全体 2015~16年にかけて

同一企業の継続雇用者 中途採用での入職者

雇用者計 雇

(9)

項目

3

時間外労働の上限規制の在り方と長時間労働の是正

3つ目の項目は、長時間労働の是正である。仕事と

子育てや介護との両立、健康の確保の観点からみて、 長時間労働を是正すべきであり、構造的な問題と捉え て、企業文化や取引慣行から見直すことが強調されて いる。

今回注目される施策のひとつが、時間外労働の上限 規制である。労使合意(36協定)によって可能とされてき た法定労働時間(1週40時間)を超えた労働などに対 して、上限を設けることで、原則として時間外労働は月

45時間(かつ、年360時間)を限度としている。労使協 定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間 外労働時間・年720時間(=月平均60時間)、単月で

は休日労働を含んで100時間未満でなければならない

としている。常態化した時間外労働に対して、抜本的 な変革を求めている。

政府の数値目標では、2020年までに、週労働時間

60時間以上の労働者割合2020年5%以下とおいてい

る。総務省「労働力調査」によれば、週60時間以上の

雇用者割合は2015年8.3%、2016年7.8%と推移して いる。

JPSEDの集計(※1)では、 2015年10.0%、2016年

9.6%と0.4%ポイント低下しており、2020年の目標到達 に向けては継続的な取り組みが必要である。

以下では、上述の上限規制を含めて、長時間労働の 実態をみていく。

週労働時間60時間以上の割合は減少傾向にあるものの

男性35~44歳の14.9%が時間外労働月60時間を超える

(※1)JPSEDでは、昨年12月時点に就いていた仕事における平均的な1週間の労働時間を把握している。

週の平均労働時間は38

.

2時間で微減傾向

就業者全体の週の平均労働時間は38.2時間。2015

年は38.6時間で、微減傾向にある。

週労働時間の分布をみると(図表4)、週労働時間60

時間以上の就業者割合は減少しているものの、週43

~59時間の就業者は30.0%と依然として多い。所定時 間内に仕事を終える働き方の定着は、道半ばである。

雇用者の9

.

7%が上限規制を超えている

上限規制に該当する雇用者はどれくらいいるのか。

JPSEDにおける雇用者(役員を除く)の主たる仕事の労

働時間に着目して、上限規制の影響を概観すると、図 表5の通りである。

時間外労働が月45時間を超える雇用者は、雇用者

全体の9.7%、月60時間を超える雇用者は7.5%である。

25~54歳の男性の時間外労働が多く、とくに、35~44

歳男性では、14.9%が月60時間を超えた時間外労働 をしている。上限規制の履行に向けては、この世代の 時間外労働の削減が最大の課題と言える。

図表5 上限規制に該当する雇用者の分布

図表4 週労働時間の分布

※労働時間には副業の労働時間を含み、雇用者には役員を含む。

(%)

就業者雇用者限定 就業者 雇用者限定 就業者 雇用者限定

週1~34時間 11.9 11.0 11.5 10.7 -0.4 -0.3 週35~42時間 47.8 49.6 48.4 49.7 0.6 0.1 週43~59時間 29.5 29.5 30.0 30.1 0.5 0.6 週60時間以上 10.8 10.0 10.1 9.6 -0.7 -0.4  週60~79時間 8.3 7.7 8.3 7.8 -0.1 0.2  週80時間以上 2.5 2.3 1.9 1.7 -0.6 -0.6 平均(時間) 38.6 39.1 38.2 38.8 -0.4 -0.3

2016

2015 2016-2015

月45時間 超(%)

月60時間 超(%)

月45時間 超(%)

月60時間 超(%) 男性

15~24歳 33.8 9.3 6.2 33.3 9.5 7.3 0.1 1.1 25~34歳 43.8 16.0 12.8 44.3 17.8 13.5 1.9 0.7 35~44歳 45.3 17.7 13.7 45.7 18.9 14.9 1.2 1.2 45~54歳 44.4 15.0 11.5 44.7 15.3 12.0 0.3 0.5 55~64歳 40.1 8.0 5.8 40.4 7.9 5.9 -0.1 0.2 65歳以上 29.4 4.9 3.9 29.8 4.6 3.7 -0.3 -0.2 女性

15~24歳 32.7 6.8 4.8 30.8 7.2 5.2 0.4 0.4 25~34歳 36.8 5.4 4.0 36.8 6.1 4.4 0.7 0.4 35~44歳 33.3 3.6 2.4 33.6 3.9 3.0 0.2 0.6 45~54歳 32.7 3.2 2.5 32.7 3.5 2.5 0.3 0.0 55~64歳 30.1 2.3 1.7 30.3 2.6 1.9 0.3 0.3 65歳以上 22.6 0.8 0.8 22.9 1.8 1.4 1.0 0.6 雇用者計 37.7 9.2 7.0 37.7 9.7 7.5 0.5 0.4

2016

2015 2016-2015

時間外労働

(上限規制) 月45時

間超 (%)

月60時 間超 (%) 週労働

時間 (時間)

時間外労働 (上限規制) 週労働

(10)

-9

-週労働時間80時間超では離職傾向が強まる

正社員に対象を限定して、2015年の週労働時間別

にみた2016年の離職割合によると(図表9)、週労働時 間が80時間以上の離職率は10.2%と高い。長時間労 働は、心身を疲弊させて、就業の継続を困難にしてい る。適正な労働時間による、持続可能な働き方の実現 が望まれる。

月100時間超の約4割が高ストレス者

長時間労働を是正する理由のひとつとして、健康へ の悪影響がある。それをJPSEDで確認してみよう。

図表8の通り、上限規制の原則月45時間、特例月60

時間、月100時間に着目すると、時間外労働時間が増

えるほど、ストレスの平均スコアが高まっている(※2)。 ストレスチェックテストの基準を超える割合は、月60時 間を超えると31.4%、月100時間を超えると39.7%とな る。これらの人々に対しては、面接指導など、労働時 間改善に向けた心身のケアが必要である。

上限規制への対応を迫られる業種・職種

働き方を変革する際には、個々の仕事内容の違いを 考慮しなければならない。働き方を規定する働く場所 や時間は、業種や職種に大きく依存するからである。

業種別(図表6)の時間外労働・月45時間を超える割 合では、運輸業が22.7%と最も高く、建設業14.7%、教 育・学習支援13.8%、飲食店、宿泊業11.8%と続く。

図表7 職種別の労働時間と上限規制の分布

(※2)具体的には、厚生労働省のストレスチェックを援用して、平均点(調査回答の合計点の属性別平均点、いつもあった=5点、全くなかった=1点、満点=40点、8

項目)と高ストレス者の割合(厚労省マニュアルでの領域Bでの高ストレス者選定基準に合わせて算出、厚労省:29点~116点→基準77点以上、JPSED:8点~40点→

基準約25.66点以上)を求めた。

職種別(図表7)では、ドライバー(トラック)52.3%、ドラ イバー(タクシー・ハイヤー)40.8%、理容師・美容師

38.5%である。これらの職種では、労働時間の短縮に向 けた取り組みの強化が求められる(P10コラムを参照)。

図表8 2015年の時間外労働時間別にみた、ストレススコア 図表6 業種別の労働時間と上限規制の分布

月45時 間超(%)

月60時 間超(%)

運輸業 22.7 18.8 43.3

建設業 14.7 11.3 43.2

教育・学習支援 13.8 10.6 34.6

飲食店、宿泊業 11.8 10.3 32.4

サービス業 10.3 7.6 36.7

製造業 9.7 6.7 41.6

電気・ガス・熱供給・水道業 9.6 7.1 39.4

不動産業 8.8 7.0 38.3

情報通信業 8.6 6.9 41.6

卸売・小売業 7.6 5.6 33.8

金融・保険業 6.6 5.1 37.9

公務 6.1 5.2 38.6

医療・福祉 5.1 3.7 35.5

郵便 3.9 2.2 31.2

鉱業 3.9 3.9 40.9

農林漁業 2.9 2.1 35.4

業種

時間外労働 週労働

時間 (時間)

月45時 間超(%)

月60時 間超(%)

ドライバー(トラック) 52.3 46.1 54.9

ドライバー(タクシー・ハイヤー) 40.8 36.1 49.9

理容師・美容師 38.5 31.1 45.3

建築施工管理・現場監督・工事監理者 31.8 28.5 49.4

店長 31.6 25.6 47.9

文芸家、記者、編集者、校正者など 30.3 22.2 45.7

不動産営業 29.9 26.9 46.0

ドライバー(バス) 28.5 24.6 47.3

機械営業 28.2 26.2 49.1

洋食調理師 26.8 25.4 41.4

食品営業 26.7 19.7 44.2

広告・出版・マスコミプロデューサー・ディレクター 26.2 21.4 45.3

教員(小中高) 26.2 21.1 43.0

設備施工管理・現場監督・工事管理者 25.3 14.8 45.7

土木設計 23.7 22.3 46.7

土木施工管理・現場監督・工事監理者 23.3 20.3 48.2

和食調理師、すし職人 23.2 23.2 40.3

自動車・バイク整備士 22.7 12.9 46.6

医師、歯科医師、獣医師 21.6 19.0 44.6

建設作業者(建設作業員) 21.5 14.4 47.9 職種

時間外労働 週労働 時間 (時間)

図表9 2015年の週労働時間別にみた、2016年の離職割合

※正社員限定(役員除く)。

15時間未満 6.0

15時間以上35時間未満 8.4

35時間以上45時間未満 6.0

45時間以上60時間未満 6.4

60時間以上80時間未満 4.9

80時間以上 10.2

2015年の週労働時間

2016年に 離職あり

(%) 平均 スコア(点)

基準を超える 割合(%)

時間外労働なし 21.0 22.5

月45時間以下 21.1 22.6

月45時間を超えて60時間以下 21.9 26.4

月60時間を超えて100時間以下 22.4 31.4

月100時間を超える 23.9 39.7

(11)

労働時間の削減に向けて、どのように取り組めば よいのか。一つの取り組みが一律に有効となるわ けではなく、働き方の実態に沿った取り組みが求 められている。

JPSEDでは、仕事の分解を試みた。具体的には、

それぞれの仕事を、①本来の担当業務で成果と 直結している仕事、②周辺的な雑務、③待機や客 待ち等の手待ち時間、に分けて、合計100になるよ うに割合を調べた(詳細は図表10を参照)。

平均的には、本来業務74.3%、周辺雑務17.9%、

手待ち時間7.8%であった。本来業務以外が約

25%を占めており、そこに仕事効率化の余地があ

る。さらに、働き方の自律性なども考慮したところ、 労働時間削減に向けた方策として、5つのパター ンが浮き彫りになった。

①業界内の過剰競争があり、ときにそれが顧客の 要望と乖離している場合には(たとえば、納品ス ピードや営業時間など)、業界全体で足並みを揃 えて改善する

・ドライバー(トラック)は、手待ち時間が約1割あり、有給

休暇が取りにくく、勤務時間の自律性が低い。積み荷に

合わせて人をシフトさせるのではなく、人の働き方に合

わせて積み荷を引き受けるなど、受発注や業務フローを

変革して、ドライバーの自律性を高めることが望ましい。

・理容師・美容師は、手待ち時間が長く、仕事の負荷が

それほど高くない。完全予約制にして、手待ち時間を削

減するとともに、業界として定休日を増やすなどして、営

業日を集約することも一案である。

②下請け構造の中で長時間労働が発生している 場合には、政府サイドで(発注元に対する)規制を 検討する

・土木・建築・設備の施工管理・現場監督・工事監理者

は、現場での裁量は高いが、有給休暇はとれず、働く

【コラム】仕事の質に着目した労働時間の削減策を考える

- 本来業務・周辺雑務・手待ち時間に分解して

日時は選べない。平均週48時間程度働いていることは、

予定工期・納期の見積が十分でない可能性がある。実

装・据付時の想定外の対応を含めて、所定時間内で終

えられる工期を設定することが必要である。

③職務を分解して、短時間勤務者に割り当てられ る仕事を発見し、ジョブシェアする

・店長は、自分で仕事のやり方を決めることができるが、

周辺雑務割合が高く、単調ではない様々な仕事を、業

務全体をみながらこなしている。労働時間を是正するた

めには、様々な仕事のうち周辺雑務について、メンバー

に委譲できる部分を増やしていく必要がある。

・医薬品営業は、本来業務の割合が低く、周辺・手待ち

の割合が高い。自分で仕事のやり方を決められるものの、

単調ではない様々な仕事が多く、ストレスも高い。個人

に負荷のかかる仕事のアサインではなく、周辺雑務を見

直し、集約化して、チームでバックアップするなど、チー

ムマネジメントに取り組むことが求められる。

④モバイルなどテクノロジーの活用で仕事の効率 化や無駄の削除を進める。ときにはテクノロジー企 業と連携して仕事効率化のツールを開発する

・ドライバー(タクシー・ハイヤー)は、手待ち時間の割合

が32.0%を占める。仕事の負荷も高くない。一方、OJT

の機会は多くない。リアルタイムで乗車希望を把握する

デバイスを活用する等して手待ち時間を削減するととも

に、輸送以外のサービスの提供や安全教育・運転スキ

ルの向上なども望まれる。

⑤教育訓練が長時間労働を促進している側面を 鑑みて、教育訓練の在り方を見直すこと

・医薬品営業、保険営業は、手待ち割合がそれぞれ

21.1%、15.1%と比較的高い。その一方で、OJTにも積

極的である。手待ち時間を教育訓練に充てることで、総

労働時間を削減することができるだろう。

(12)

-11-図表10 職種別本来業務・周辺雑務・手待ち時間の割合と仕事の質

注)上位20職種は赤、下位20職種は青で色分けした後、その他職種、サンプルサイズが小さい(50以下)職種などは、表から省略して掲載した(雇用者計には含まれる)。

職種 手待ち割合

(%)

本来業務割 合(%)

周辺雑務割 合(%)

平均週労働 時間(時間)

時間外労働 (月60時間 超、%)

自分で仕事 のやり方を 決めること ができた (Q63_4、1 ~5点)

有給休暇が 取れた (Q54、1~5 点)

勤務時間を 選ぶことが できた (Q40-2、1 ~5点)

処理しきれ ないほどの 仕事であふ れていた (Q62-1、1 ~5点)

ストレスに よって、精 神的に病ん でしまう人 が発生した (Q62-6、1 ~5点)

単調ではな く、様々な 仕事を担当 した(Q63-1、1~5点)

業務全体を 理解して仕 事をしてい た(Q63-2、 1~5点)

OJTの機会 の有無 (Q59、あり 1、なし0点)

雇用者計 7.8 74.3 17.9 37.7 7.5 3.14 2.99 2.19 2.65 2.25 2.98 3.53 0.48

ドライバー(タクシー・ハイヤー) 32.0 59.3 8.7 49.9 36.1 3.49 2.86 2.71 1.84 2.21 1.97 3.46 0.22

医薬品営業 21.1 58.9 20.0 47.3 14.0 3.66 2.23 2.43 2.97 2.58 2.98 3.65 0.66

ドライバー(バス) 17.5 72.7 9.9 47.3 24.6 2.44 3.21 1.52 2.36 2.50 2.22 3.55 0.29

理容師・美容師 16.4 69.1 14.5 45.3 31.1 3.26 2.62 2.23 2.46 2.07 3.00 3.76 0.59

保険営業 15.1 59.8 25.1 39.9 7.0 3.59 2.89 2.35 2.66 2.38 2.93 3.53 0.69

不動産営業 13.9 63.6 22.5 46.0 26.9 3.33 2.18 2.05 2.81 2.11 3.24 3.48 0.51

ホールスタッフ(パチンコ・遊技場) 13.6 60.1 26.3 34.2 6.9 3.02 3.25 3.18 2.51 2.21 3.18 3.40 0.48

宿泊施設接客 12.9 70.2 16.9 39.9 10.2 2.98 2.98 2.33 2.63 2.15 2.96 3.58 0.42

広告・出版・マスコミプロデューサー・ディレクターなど 12.7 68.2 19.1 45.3 21.4 3.34 2.53 2.23 2.80 2.67 3.38 3.75 0.61

警備、守衛など 12.6 75.4 12.0 38.8 10.8 2.57 2.95 1.81 2.11 2.03 2.41 3.48 0.49

ドライバー(バン、ワゴン) 12.3 74.7 13.0 34.7 9.5 2.82 3.36 2.22 2.19 2.00 2.31 3.31 0.30

ドライバー(トラック) 11.9 76.0 12.1 54.9 46.1 2.94 2.43 1.72 2.50 2.04 2.48 3.43 0.24

サービススタッフ(ガソリンスタンド) 11.9 70.7 17.5 36.9 5.7 2.97 3.00 2.46 2.46 2.13 2.77 3.77 0.53

販売店員、ファッションアドバイザー 11.9 70.3 17.9 33.0 4.6 3.04 2.94 2.74 2.58 2.07 3.01 3.64 0.50

受付 11.7 68.0 20.3 30.4 2.9 2.86 3.22 2.32 2.37 2.01 2.84 3.48 0.47

自衛官、警察官 11.6 69.3 19.1 42.5 11.3 3.13 2.76 1.55 2.53 2.40 3.12 3.58 0.66

ウエイター・ウエイトレス 11.4 71.6 17.0 25.0 6.8 2.86 3.42 3.53 2.24 1.99 2.94 3.59 0.49

ビル・駐車場・マンション・ボイラー等管理 11.2 72.9 15.9 33.7 5.1 3.22 3.11 1.94 2.21 1.89 2.74 3.57 0.47

和食調理師、すし職人 11.1 72.8 16.1 40.3 23.2 3.00 3.08 3.10 2.91 2.20 3.01 3.42 0.48

福祉相談指導専門員 11.0 66.9 22.1 37.0 6.6 3.46 2.90 2.14 3.01 2.52 3.31 3.78 0.70

食品営業 10.4 69.8 19.8 44.2 19.7 3.18 2.38 1.80 3.01 2.42 3.02 3.44 0.47

秘書 9.9 59.7 30.4 40.9 10.7 3.57 3.21 1.77 2.72 2.34 3.47 3.76 0.44

機械保守・メンテナンス 9.8 68.1 22.2 42.4 6.4 3.29 2.83 1.96 2.93 2.28 3.25 3.55 0.65

建築施工管理・現場監督・工事監理者 9.6 71.7 18.7 49.4 28.5 3.54 2.30 1.86 2.95 1.97 3.24 3.74 0.32

自動車・バイク整備士 9.5 73.8 16.8 46.6 12.9 3.23 2.34 1.67 2.79 2.29 3.17 3.56 0.52

家政婦(夫)、ホームヘルパーなど 9.4 75.5 15.1 26.2 3.1 3.00 3.04 2.82 2.40 2.28 2.80 3.55 0.53

レジ 9.3 73.5 17.2 26.1 3.2 2.74 3.00 3.30 2.44 1.89 2.87 3.47 0.46

銀行営業 9.1 68.1 22.8 40.7 7.2 3.15 2.95 1.59 2.98 2.70 3.05 3.41 0.71

医師、歯科医師、獣医師 8.9 73.6 17.4 44.6 19.0 3.21 2.57 1.85 2.57 2.35 3.08 3.48 0.63

店長 8.8 68.8 22.5 47.9 25.6 3.69 1.83 2.45 2.96 2.18 3.43 3.89 0.54

建設作業者(設備工事作業員) 8.5 77.6 13.9 45.8 13.1 3.00 2.71 1.69 2.58 1.86 3.34 3.52 0.31

鉄道運転従事者、電話交換手、郵便配達など 8.3 81.3 10.4 38.7 7.0 2.73 3.80 1.81 2.34 2.54 2.51 3.45 0.49

薬剤師 8.0 78.1 13.9 35.6 1.2 3.25 2.80 2.18 2.75 1.95 3.01 3.67 0.71

医療事務 7.9 73.7 18.4 34.4 2.9 3.02 2.92 2.11 2.68 2.06 2.94 3.63 0.47

管理職 7.3 73.4 19.2 44.7 11.7 3.75 2.54 1.95 2.87 2.38 3.31 3.87 0.52

キーパンチャー、パソコン、オペレーターなど 7.3 82.8 9.9 32.7 3.4 2.57 3.67 2.45 2.63 2.32 2.45 3.42 0.55

人事・労務 7.3 73.8 18.9 40.1 5.8 3.19 3.01 1.92 2.88 2.72 3.06 3.48 0.52

塾講師 6.9 76.9 16.2 22.4 5.5 3.50 2.97 3.13 2.39 1.77 2.87 3.61 0.59

営業事務 6.9 70.8 22.4 39.4 5.2 3.26 3.04 1.86 2.65 2.20 3.00 3.51 0.47

洋食調理師 6.8 78.6 14.5 41.4 25.4 3.23 2.54 3.16 2.72 2.28 3.08 3.81 0.53

設備施工管理・現場監督・工事管理者 6.8 76.2 17.0 45.7 14.8 3.48 2.37 1.70 2.87 2.13 3.23 3.68 0.58

設計(電気回路、半導体、電気通信、制御) 6.5 74.4 19.0 46.1 10.1 3.41 3.11 2.04 3.05 2.48 3.34 3.63 0.61

国際業務・貿易事務 6.5 75.0 18.5 41.8 2.0 3.34 2.91 1.72 2.79 2.23 3.06 3.63 0.53

土木施工管理・現場監督・工事監理者 6.1 80.2 13.7 48.2 20.3 3.35 2.56 1.77 2.84 2.09 3.31 3.70 0.43

看護師(準看護師を含む) 6.1 75.3 18.7 36.1 3.0 3.00 2.75 2.17 2.89 2.37 3.22 3.71 0.61

DTPオペレーター、印刷機オペレーター 6.1 79.4 14.5 44.2 10.3 3.20 2.71 1.91 2.82 2.19 2.98 3.50 0.44

企画 5.9 72.1 22.0 42.5 6.9 3.40 2.94 2.14 3.06 2.51 3.45 3.64 0.50

配達、倉庫作業、その他 5.8 81.3 12.9 32.4 4.0 2.65 3.22 2.51 2.48 2.11 2.55 3.39 0.29

教員(小中高) 5.8 72.7 21.5 43.0 21.1 3.48 2.73 1.75 2.95 2.47 3.42 3.64 0.64

農業・畜産・林業・水産・食品技術者 5.8 76.1 18.1 38.8 2.8 3.26 2.99 2.01 2.51 2.23 3.23 3.41 0.74

農耕作業者、造園職など 5.7 78.6 15.7 35.2 2.0 2.73 3.51 2.63 2.46 1.89 2.79 3.61 0.39

介護士 5.7 75.4 18.9 37.2 4.0 2.97 2.73 2.32 2.87 2.55 3.13 3.68 0.59

SE(データベース系、制御系) 5.6 78.0 16.4 43.8 5.5 3.10 3.07 2.01 2.98 2.56 3.14 3.33 0.56

プログラマ 5.6 81.0 13.5 42.6 6.3 2.91 2.86 1.86 2.69 2.41 2.90 3.16 0.49

研究開発(電気・電子・機械) 5.1 74.2 20.7 43.9 7.0 3.44 3.48 2.33 3.01 2.53 3.32 3.56 0.63

経営企画 5.1 73.6 21.4 42.0 9.2 3.43 2.86 2.06 2.74 2.64 3.47 3.62 0.59

清掃 5.0 85.2 9.8 24.6 3.0 3.24 3.29 2.25 2.23 1.76 2.27 3.60 0.30

電気の製造・生産工程・修理作業者 4.9 78.6 16.5 41.6 5.0 2.90 3.01 1.79 2.86 2.49 2.88 3.24 0.40

自動車の製造・生産工程・修理作業者 4.8 82.0 13.2 42.7 8.3 2.84 3.32 1.70 2.76 2.54 2.78 3.29 0.48

財務、会計、経理 4.6 75.9 19.5 37.6 3.0 3.50 2.87 1.96 2.65 2.06 2.90 3.57 0.40

機械の製造・生産工程・修理作業者 4.6 81.4 14.0 42.1 5.7 3.12 2.86 1.72 2.85 2.44 2.98 3.38 0.46

WEB系プログラマ、アプリケーション開発 4.5 79.6 15.9 43.3 4.8 3.15 2.38 1.99 2.86 2.66 3.10 3.41 0.57

法務 4.5 71.6 23.9 42.5 5.6 3.03 3.08 1.70 2.97 2.59 3.17 3.58 0.55

建設作業者(土木作業員) 4.3 85.8 9.9 44.5 7.3 2.63 2.91 1.70 2.35 2.02 2.97 3.28 0.46

開発職(ソフトウエア関連職) 4.2 81.4 14.3 43.2 5.7 3.16 3.04 1.88 2.93 2.56 3.09 3.40 0.54

金属の製造・生産工程・修理作業者 4.0 83.2 12.8 43.5 10.2 3.00 2.88 1.65 2.83 2.45 2.92 3.37 0.42

保育士 3.9 77.5 18.6 31.9 0.9 3.10 3.08 2.31 2.69 2.21 3.31 3.66 0.55

(13)

項目

4

柔軟な働き方①テレワーク

働き方改革実行計画では、4つ目の項目として、柔

軟な働き方がしやすい環境整備を掲げ、テレワークと 副業・兼業の推進を目指している。

まず、テレワークについて、働き方改革実行計画を みると、「時間や制約にとらわれることなく働くことがで きるため、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多 様な人材の能力発揮が可能となる」と期待する一方で、 「これらの普及が長時間労働を招いては本末転倒」と、 労働時間管理に関する懸念点を挙げている。数値目 標は、2020年までに、週1日以上終日在宅で就業する 雇用型在宅型テレワーカーを全労働者数(雇用者数) の10%と掲げていたが、その後、時間単位での取得や、 自宅外やモバイルワークといった、より柔軟な働き方を 捉えられるように再検討され、2020年にテレワーク制度 等に基づく雇用型テレワーカーを平成28年(7.7%)比 の倍増にするという目標に見直された(平成29年5月

30日閣議決定)。

制度適用の有無から捉えるテレワーク

国土交通省「平成28年度テレワーク人口実態調査」 によると、勤務先にテレワーク制度などがある割合は雇 用者の14.2%であり、そのうち54.6%がテレワークを実 施したことがあると回答している。そこから、テレワーク

制度等に基づく雇用型テレワーカーは7.7%と計算で

きる。JPSED2017では、職場でテレワーク制度が導入さ

れているかに加えて、自身がその制度の対象者として 適用されているかを訊いている。図表11をみると、雇

テレワーク制度適用は2.5%とわずかだが、

長時間労働を招かず、男性家事育児時間を32.1分増やす

雇用者の4.9%(2.5+2.4)の職場でテレワーク制度が導

入されていて(※1)、テレワーク制度の適用者となって いるのはその半数の2.5%である。

テレワーク実施者の多くは制度非適用

1週間のテレワーク時間から、テレワーク実施の様子

をみてみると( 図表 1 2 ) 、 実施者 は 雇 用者の7.4% (5.3+2.1)であり、そのうち71.6%は8時間未満の実施 と、終日ではなく、時間単位での取得割合が高いこと がわかる。また、実施者のテレワーク制度適用者の割 合をみると、16.1%しか適用者ではないことから、8割 強が制度に関係なくテレワークを実施している実態が わかる。制度適用ではないテレワークには、持ち帰り残 業によるやむを得ないテレワークが含まれる可能性が ある。今回、テレワークの数値目標が「制度適用等に 基づく」ものに見直されたことは、テレワークの進捗を 正確に把握するために有効であろう。

テレワークは長時間労働を招かない

テレワークの導入を妨げる背景として、テレワークに よって労務管理が困難になり、長時間労働を招くことを 懸念する企業の声がある。ここでは、テレワーク実施者 の週あたりの労働時間を、テレワークを実施していない 人と比較することで、テレワークが労働時間を長くする か否かを検証する。その際、テレワーク実施者を、テレ ワーク制度適用者と、制度適用されていないにも拘ら ず実施している者とで区別してみていくことにする。

図表12 雇用者の1週間テレワーク時間と制度適用 図表11 雇用者のテレワーク制度適応の有無

(※1)「テレワーク人口実態調査」では、「制度はないが会社や上司などが認めている」「試行実験を行っている」などを含めてテレワーク制度などの有無と捉えている のに対して、JPSEDでは「職場にテレワーク制度が導入されているのか」という制度に注目した把握をしている。JPSEDで、職場にテレワーク制度が導入されており、か

(%) (%)

制度導入済 み、自身適 用

制度導入済 み、自身非 適用

制度として 導入されて いなかった

わからない

雇用者計 2.5 2.4 72.3 22.8

正規職員・従業員 3.0 3.0 76.2 17.7

非正規職員・従業員 1.6 1.5 66.2 30.7

雇用者計 92.6 5.3 2.1 16.1

正規職員・従業員 91.2 6.5 2.3 15.8

非正規職員・従業員 94.8 3.5 1.7 17.1

0時間 1~8時間 未満

8時間 以上

(14)

-13-図表13をみると、制度適用型のテレワークの週労働 時間は、テレワークをしていない人(0時間)と比べて、 男女ともに、分布も平均も大きく変わらないことがわか る。つまり、制度適用型テレワークによって、長時間労 働が招かれるという事実は確認できない。一方で、制 度非適用型テレワークは、テレワークをしていない場 合と比べて、男女ともに長時間のほうに分布が偏り、平 均労働時間も長くなっている。制度非適用型テレワー クには、持ち帰り残業が含まれている可能性が確認で きる。

働いていた平均的な1日の通勤時間をみると(図表1 4)、テレワークをしている人のほうが、していない人より も長い時間の割合が高く、平均も長いことから、通勤時 間が長い人が、テレワークを選択している傾向がうかが える。つまり、制度適用型のテレワークは、テレワークを していない人と比べて労働時間は変わらなくても、通 勤のための時間を削減することで、有効活用できる時 間を得ていると言える。

テレワークは男性の育児家事時間を増やす

働いていた平均的な1日の育児家事時間を比較す

る(図表15)。テレワークをしている人は、していない人 に比べて、育児家事時間が長い傾向がある。とくに、 男性の適用型テレワークでは、テレワークをしていない 人と比べて、32.1分も平均の育児家事時間が長くなっ ている。

生活満足についても比較すると(図表16)、制度適 用型のテレワークは、テレワークをしていない人と比べ て、満足度が高い傾向がわかる。一方で、制度非適用 型のテレワークは、とくに女性において、満足度が低 い傾向がうかがえる(※2)。

図表13 週労働時間

図表15 働いていた平均的な1日の育児家事時間

図表14 働いていた平均的な1日の通勤時間(往復)

図表16 生活に満足していたか

(※2)図表は割愛するが、以上の週労働時間、育児家事時間、生活満足の効果は、配偶者や子どもの有無といった個人の属性や、従業員規模、業種、職種といった 企業属性を調整した分析においても、結果は変わらなかった。

6.1 15.5 5.9 7.4 9.6 6.2 37.2 40.0 40.1 44.3 56.1 41.9 32.9 28.5 29.8 27.3 22.3 27.7 15.8 11.6 17.0 15.1 8.2 17.2 8.0 4.3 7.2 6.0 3.8 7.0

0時間 適用実施 非適用実施

0時間 適用実施 非適用実施

満足 まあ満足 どちらともいえない どちらかといえば不満 不満 女性

男性

(%)

(%) (%)

(%)

20時間 未満

20~35 時間 未満

35~45 時間 未満

45~55 時間 未満

55時間 以上 平均値 0時間 6.8 7.5 46.2 28.1 11.4 41.8

適用実施 7.7 11.0 42.5 25.3 13.5 41.4

非適用実施 7.3 7.3 32.6 29.6 23.3 45.3

0時間 18.7 23.8 43.9 10.8 2.9 32.3

適用実施 21.4 22.9 37.0 14.3 4.3 31.9

非適用実施 18.7 19.0 35.4 17.0 9.9 35.0

男性

女性

0分 10~30 分

40~60 分

70~90 分

100分以 上 平均値 0時間 2.0 36.7 31.9 9.9 19.4 72.7

適用実施 8.5 25.7 27.0 10.0 28.8 102.2

非適用実施 2.1 28.5 29.7 10.9 28.8 91.2

0時間 2.2 45.1 31.0 7.5 14.1 59.9

適用実施 12.0 38.2 20.7 12.5 16.7 67.3

非適用実施 2.9 38.7 33.0 7.8 17.7 72.4

女性 男性

0分 1分~1

時間 未満

1~2時 間未満

2~3時 間未満

3時間 以上 平均値 0時間 41.5 16.1 27.7 8.5 6.3 52.6

適用実施 27.3 11.2 34.7 14.2 12.6 84.7

非適用実施 30.8 20.5 29.2 10.7 8.7 65.5

0時間 12.7 6.5 21.5 21.7 37.6 150.4

適用実施 9.1 2.9 20.1 21.0 46.8 168.7

非適用実施 9.5 8.2 22.3 22.4 37.7 156.9

男性

(15)

図表18 制度適用者のテレワーク実施の要因 (正規職員・従業員限定)

先ほどみたように、雇用者でテレワーク制度が適 用されている割合は2.5%であるが、12月時点の週 テレワーク時間をみると(図表17)、制度適用者の うち過半数が、テレワークを実施していないことが わかった。なぜ、制度が適用されているのに、テレ ワークできないのか。その要因を分析してみたい。

図表18は、正規職員・従業員のテレワーク制度 適用者のうちテレワーク実施を1、非実施を0とする ウエイト付ロジスティック分析の結果である。*は統 計的に有意な影響がある場合を示し、数値はオッ ズ比である。*がついていて、数値が1より大きいほ ど、テレワークをしている確率が増え、逆に1より小 さいほど減る。

まず、性別、配偶者や子どもの有無をみると、そ れらの違いは、テレワーク実施に有意な影響を生 じていない。子どもがいるからテレワークをするかと いうと、そうではない。勤務先の状況をみると、規模 が小さいところに比べて、大きいところはテレワーク をしている確率が低い。とくに、100人以上1000人 未満は、テレワークをしている確率が低い。業種で は情報業、職種では営業職がテレワークをしてい る確率が高いのは、想像の通りではないだろうか。

そして、これらの要因を調整してもなお、「自分で 仕事のやり方を決めることができた」がテレワーク 実施の確率を有意に高めていることは、テレワーク を進めていく上で、重要なポイントだろう。なぜなら、 仕事を自律的にできるかどうかは、多くの仕事で汎 用可能な、マネジメントの問題だからである。つまり、 ミッションを明確にして、中間段階で報告や相談を 受けなくても、部下が自身で判断して仕事を進め られるようにしているか。テレワークが進むかどうか は上司のマネジメントスキルにかかっている。

【コラム】制度が適用されているのに、なぜテレワークできないのか

( )は各参照値

* p<0.1, ** p<0.05, *** p<0.01

図表17 制度適用者の週テレワーク時間(%)

オッズ比

定数項 0.56

年齢 1.00

女性 0.90

配偶者あり 1.49

子どもあり 0.81

100人未満 (10人未満) 0.87

1000人未満 0.54**

1000人以上 0.63*

公務 0.63

素材関連業 (製造業) 1.21

サービス 1.12

情報 2.57***

金融 0.59

流通・小売 1.86

その他産業 0.74

サービス職 (事務職) 0.95

生産工程・労務職 0.87

営業職 3.41***

販売職 0.64

専門職・技術職 1.06

その他職種 1.77

部長以上 (役職なし) 1.57

課長以上 1.32

単調ではなく、様々な仕事を担当 0.94 自分で仕事のやり方を決めることができた 1.63**

(16)

-15

-項目

4

柔軟な働き方②副業・兼業

副業・兼業について、働き方改革実行計画をみると、 「希望者は原則として副業・兼業を行うことができる社

会にする」と目標を掲げている。総務省「平成24年度

就業構造基本調査」によると、雇用者の3.4%が副業・ 兼業をもち、5.7%が、「(今の仕事のほかに)別の仕事 もしたい」と副業・兼業をもつことを希望している。

1年間で副業・兼業経験は雇用者の12

.

9%

JPSEDで雇用者の副業・兼業実施者の割合をみると、

2016年 は 雇 用 者 の12.9% 、 正 規 職 員 ・ 従 業 員 の

10.8%、非正規職員・従業員の16.1%が副業・兼業し ていた。先述の「就業構造基本調査」との値の開きは、

4年が経過したことによる進捗だけでなく、JPSEDのほう が「2016年1月~12月の中」と1年間での経験有無を 訊いたことで、図表19に示すように、週労働時間が 「不規則なので週単位では答えられない」という副業・ 兼業を多く捉えていることによるものと考えられる(※1)。

成長機会、そして、転職準備機能をもつ

働き方改革実現会議では、 副業・兼業を推進するメ リットとして、本業だけでは得られない新たな技術や視

野の獲得によるオープンイノベーションや、第2の人生

の準備としての有効性をあげている。それらの効果に

ついてもJPSEDで検証してみよう。

まず、副業・兼業の有無による成長実感の違いを集 計したところ(図表20)、副業・兼業を行っているほうが、

雇用者の12.9%が1年の間に一度以上の副業・兼業経験をもつ

ただし、週単位では答えられない不規則なものが54.7%を占める

仕事を通じて成長実感を感じている傾向が確認された。

次に、JPSED2016と2017の両方に回答したサンプル

を使って、2016年12月時点で副業・兼業をしていたも ののうち、2017年の1年間で転職した割合を集計したと ころ(図表21)、副業・兼業をしていたもののほうが、転 職した割合が高い傾向が示された。

(※1)「不規則なので週単位では答えられない」と回答した人の副業・兼業の仕事内容をみると、軽作業、講演・執筆活動、事務、試験監督、アンケート回答など多岐 にわたる。また、副業・兼業年収をみると「20万円未満」が62.8%と、規則的な副業・兼業に比べて低いほうに偏っている。

図表20 副業・兼業と成長実感あり(計)

図表21 副業・兼業者の転職割合

副業・兼業あり 7.6

なし 4.2

副業・兼業あり 15.1

なし 12.8

正規職員・従業員

非正規職員・従業員

(%) (%)

33.7

27.7

33.3

27.4

0 10 20 30 40

し 副業

正規職員・従業員 非正規職員・従業員

図表19 副業・兼業の週労働時間

(%)

5時間 未満

5~10時 間未満

10~20時 間未満

20時間 以上

不規則で 週単位で は答えら れない

平均値 (時間)

副業・兼業をもつ雇用者計 15.7 11.8 10.1 7.7 54.7 11.0

 正規職員・従業員 18.8 11.1 9.6 8.6 51.9 11.3

(17)

22

.

0%が2つ以上の副業・兼業をもつ

JPSED2017は副業・兼業の有無や週労働時間のほ

かに、副業・兼業の数、仕事内容や年収を訊いており、 副業・兼業についての情報が豊富である。以降では、 雇用者の副業・兼業の詳細をみていこう。

副業・兼業の数をみると(図表22)、副業・兼業者をも つ雇用者の22.0%が2つ以上の副業をもつ、いわゆる パラレルワーカーである。とくに、非正規職員・従業員 にその割合は高めで24.4%である。

つぎに、副業・兼業年収をみると、20万円未満が過 半数であるが、100万円を超えるものも正規職員・従業 員の11.6%、非正規職員・従業員の6.5%いて、平均 値でみると、非正規職員・従業員(35.2万円)よりも、正 規職員・従業員(39.4万円)のほうが高い。副業・兼業 の仕事内容が本業と同じである割合は、非正規職員・ 従業員が12.0%であるのに対して、正規職員・従業員 の26.2%であることから、正規職員・従業員のほうが、

本業を活かした副業・兼業によって、高い収入を得て いる様子がうかがえる。

本業連動型の副業・兼業収入は高い

本業の年収と、副業・兼業の有無や年収などとの関 係から、副業・兼業の特徴をみると(図表23)、正規職 員・従業員、非正規職員・従業員ともに、本業年収が 低いほど、副業・兼業をしている割合が高くなっている。 本業の収入を補填するために、副業・兼業を実施して いる様子がうかがえる。

つぎに、本業年収と副業・兼業年収の関係をみると、 正規職員・従業員、非正規職員・従業員ともに、本業 年収が高いほど、副業・兼業年収も高い傾向がみられ る。仕事内容をみると、本業年収が高いほど、本業と副 業・兼業の仕事内容が同じである割合が高くなる傾向 があり、本業年収が高い人ほど、本業の専門性を副業 にも活かすことで、高い副業・兼業収入を得ている。

図表23 本業の年収と副業・兼業の関係 図表22 副業・兼業の数、年収、仕事内容

(%)

(%)

20万円 未満

20~100 万円未満

100万円 以上

平均値 (万円)

副業・兼業をもつ雇用者計 22.0 55.0 36.0 9.0 37.3 19.2

正規職員・従業員 19.6 52.2 36.3 11.6 39.4 26.2

非正規職員・従業員 24.4 57.8 35.8 6.5 35.2 12.0

副業・兼業の年収 副業・兼

業は2つ 以上

副業・兼 業=本業 仕事内容

仕事内容

20万円 未満

20~50万 円未満

50~100万 円未満

100万円 以上

平均値 (万円)

副業・兼業= 本業

200万円未満 14.4 63.2 17.5 8.6 10.7 29.9 21.0

200~300万円未満 12.8 56.9 21.5 13.9 7.7 33.6 15.5

300~500万円未満 11.4 51.1 24.3 15.3 9.3 36.9 25.6

500万以上 8.6 45.9 19.5 16.5 18.1 51.3 35.7

100万円未満 17.8 67.8 22.2 8.2 1.8 23.7 9.6

100~200万円未満 15.5 54.6 23.0 15.8 6.6 38.2 12.1

200~300万円未満 15.8 47.2 20.6 18.7 13.5 49.3 14.3

300万以上 13.7 44.2 20.9 19.3 15.5 52.7 19.5

副業・兼業を している

副業・兼業の年収

正規職員・従業員

(18)

-17-項目

5

子育て・介護などと仕事の両立

働き方改革実行計画では、5つ目の項目として、病

気の治療、子育て・介護などと仕事の両立、障害者就 労の促進を掲げている。ここでは、JPSEDで集計可能 な、子育て・介護と仕事の両立に焦点を当てる。

まず、子育てと仕事の両立に関しては、女性の就労 が進んでも、育児負担が女性に偏っている現状を踏ま え、2020年までに男性の育児休業取得率を13%にす るという目標を掲げている(働き方改革実行計画)。ま た、「仕事と生活の調和促進のための行動指針」では、

2020年までに6歳未満の子どもをもつ男性の育児家事 参加時間を1日あたり2時間30分(週平均)、女性の第 一子出産就業継続率を2020年に55%という目標を掲 げている。

男性育児休業取得率は微増で目標遠し

まず、男性の育児休業取得率は、厚生労働省「雇用 均等基本調査2015年」で2.65%と近年微増傾向にあ る。JPSEDで集計すると、その値は2015年3.8%、2016

年5.2%と1年で増加しているものの(※1)、目標に対し てはショートしている状態である。

つづいて、6歳未満の子どもを持つ男性の育児家事

参加時間は、総務省「平成23年社会生活基本調査」

では67分である。JPSEDでは、ほかの活動をしながら の育児家事時間もカウントさ れるという設問の違い

(※2)や、調査対象者が就業者に限定されているとい

う違いがあるため、単純比較はできないが、2016年の

男性の育児家事参加時間と女性の第一子出産就業継続率は順調

一方で、男性の育児休業取得率と介護離職は厳しい状況

週平均では142分(2時間22分)と政府目標に近い値と なった(図表24)。

女性の第一子出産就業継続率は目標達成

女性の第一子出産就業継続率は、「第15回出生動

向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)による

と、出生年が2010~14年で53.1%である。JPSEDで集 計 す る と ( 図 表 2 5 ) 、 出 生 年2010~14年 は53.8% (JPSED2016)、2011年 ~2015年 は55.1% と な り

(JPSED2017)、こちらは、数値目標55%を達成している

結果となっている。

介護離職数は増加、男性の離職が増える

介護と仕事の両立に関しては、数値目標はないが、

2020年までに介護施設・サービスが利用できないこと

を理由とする離職をなくすことを目指している。

総務省「平成24年就業構造基本調査」では、1年間

で10.1万が介護で離職していた。JPSEDで推定すると、 その数は2015年に14.2万人、2016年には14.5万人と なり、介護離職者の数は増加傾向にある。また、詳細 をみると、離職者の男性の割合が増加傾向であった。 介護と仕事の両立環境は、改善の兆しが見られず、厳 しい状況が続いている。

図表24 平均的な1日の育児家事時間(夫婦と子ども世帯、6歳未満の子どもをもつ2016年12月就業者)

(※1)JPSEDでは調査対象期間の1年間で「配偶者が出産した」と答えた人のうちの「(本人が)育児休業を取得した」割合で、男性の育児休業取得率を計算。一方で、雇用均

等基本調査では出産してから1年間での育児休業取得率を捉えており、計測期間が異なる。

(※2)JPSEDでは働いている日と休日の平均的な育児家事時間を実数(10分単位)で訊いているのに対して、社会生活基本調査では、指定された2日間のそれぞれ24時間に

ついて20種類の行動のどれを実施していたのか15分単位で1つ選ぶ形式。

図表25 出生年ごとの第一子出産就業継続率

2010~2014 2011~2015

JPSED 53.8% 55.1%

(参考)第15回出生動向基本調査 53.1% -

(%)

0分 30分

未満

30分~1 時間30分 未満

1時間30 分~2時 間30分未

2時間30 分~3時 間30分未

3時間30 分~4時 間30分未

4時間30 分~5時 間30分未

5時間30 分~10時

間未満

10時間以 上

平均値 (分)

男性 4.0 4.0 27.6 27.5 15.8 9.8 4.4 6.4 0.5 142

女性 0.4 0.1 1.5 5.9 12.0 11.9 10.0 38.8 19.4 423

男性 12.5 3.4 46.8 23.2 7.7 2.7 1.0 2.3 0.5 90

女性 1.5 0.0 2.5 11.9 16.1 13.6 14.2 24.8 15.4 359

男性 4.6 0.4 13.6 15.4 17.1 10.3 10.6 15.5 12.4 271

女性 1.8 0.0 1.0 3.8 6.3 6.9 11.1 21.3 47.8 584

就業者

働いていた日

参照

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